最高裁判所第三小法廷 昭和25(オ)158 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人A代理人宮本基の上告理由は後記書面のとおりである。
第一点について。
論旨は、上告人は、本件小切手(額面二万七千円)によつて代物弁済の主張をし
ているのに、原判決は、上告人が訴外Dによる債務引受の特約を主張したものとし
て判断しているのは、理由にくいちがいがあるというのである。しかし上告人は、
第一審において右小切手を交付するにあたり、当事者間にDを債務引受人とする免
責的債務引受が成立したという趣旨の主張をし(記録九三丁)次で原審において、
さらに右小切手の交付は、代物弁済であると主張したのであつて(記録一四三丁、
一五一丁)、原判決は、上告人は小切手について、免責的債務引受の主張に、代物
弁済の主張を加えたものと認め、両者について審理し、そのいずれの事実をも認め
ることはできないと判断したのであるから、その間になんら理由にくいちがいはな
く、所論のような違法はない。
第二点につて。
論旨は、原判決は、被上告人が訴外D振出の本件小切手六通の交付を受けたこと
を認定した以上、それによつて当然更改契約が成立したことを認めなければならな
いのに、なんら理由を附せず、これを認めなかつたのは、理由不備であるというの
である。しかし既存の債務につき、右のように小切手が交付された事実があつても
既存の債務消滅の事由となるか否かは、当事者の意思解釈によつて定まるべきもの
と解すべきである。そして原判決は証拠によつて、本件小切手の交付は、既存債務
消滅の事由とならないと認定したのであるから、所論のような違法はなく、論旨は
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理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見をもつて、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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